初めまして。今回僕が紹介させて頂くのは、桂正和先生のSF恋愛漫画”電影少女”です。ビデオを再生すると女の子が出てくるという内容もあって、この作品が掲載されたのは1990年前後と、今から20年以上も前の作品です。

もしも今、こういう作品を作るとしたら、DVDガールになっているのでしょうか?それはさておき、ビデオから現れた女の子あいちゃんは、とても魅力的な女の子です。本当はおしとやかで、料理もできる家庭的な子だったみたいですが、主人公の弄内洋太が壊れたビデオデッキで再生してしまったために一転。

ちょっと乱暴で、家事も苦手な女の子になってしまいます。でも、好意的にいえばボーイッシュなイメージですから、僕にとってはかえって魅力的な存在に映りました。

あいちゃんみたいにビデオを再生して現れる女の子を作中ではビデオガールと呼びますが、このビデオガールはもともと悩んでいる人を励ましたり、応援してあげるために存在しています。この時、洋太は恋をしていました。早川もえみという、同じ学校の女の子に。

あいちゃんは自分の使命通り、洋太ともえみを結ばせようとします。しかし、洋太の不器用ながらも優しい性格を知っていくうちにその気持ちは大きく揺れ動きます。

本来、ビデオガールが誰かを心の底から好きになることはありません。しかし、壊れたビデオデッキで再生してしまったがために、彼女には恋という、切ない感情が生まれてしまったのです。

自分の感情を押し殺してまで洋太ともえみに結ばれてほしいと願うあいちゃん。そんなあいちゃんの気持ちに少しずつ洋太は心を動かされ、やがて惹かれていきます。

この作品には、不器用な優しさを持った人物が多く登場します。そんな彼らの行動に、時に苦しくなり、時に切なくなります。僕は恋愛漫画を読むことはあまりありませんが、この作品が教えてくれた色んな愛の形を思い出すと、今でも胸が熱くなります。